20210500 土地規制法案

重要土地利用規制法案
なぜいまこの法律が必要なのでしょうか?

 2021年3月26日、「重要土地利用規制法案」を閣議決定・国会提出し、今国会での成立を狙っています。
 法案は、基地や原発の周辺にある土地建物を所有したり借り受けたりしている者を調査し、利用を規制する権限を政府に与えるとして、調査内容は政府次第で拡大されます。
 5月11日に衆議院本会議で趣旨説明を行ない、19日、21日の衆議院内閣委員会での審議を行おうとしています。

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以下、「国民を監視し、私権制限や運動弾圧をもたらす
重要土地利用規制法案」は廃案に」学習/抗議集会資料より

◆どんな内容の法案? 
①「注視区域」に指定 
 米軍基地や自衛隊基地、原発などの「重要施設」の周囲約 1 キロと、国境にある離島を「注視区域」に首相が指定し、そのなかで特に重要とみなすものを「特別注視区域」に指定するとしています。 
②利用状況の調査、報告なしに罰則 
 政府は「注視区域」内にある土地・建物の所有者や賃借人などの情報を集め、必要なら利用状況に関する報告を求めることができます。 
 「特別注視区域」については、一定以上の面積の土地売買は、氏名、国籍などの事前の届け出を義務付けます。 
 無届けや虚偽の届け出をした場合は、6月以下の懲役または100万円以下の罰金を科すことができます。 
③利用を規制し、従わない人には罰則 
 「重要施設」などの「機能を阻害する行為」や「機能を阻害する明らかなおそれ」がある場合は、内閣総理大臣が利用中止の勧告・命令をおこなうことができます。命令に応じない場合、2 年以下の懲役または 200 万円以下の罰金を科すことができます。 
 法案には「政府が土地の買取りを求めることができる」とありますが、罰則で圧力をかけながらの買取りは、事実上の強制収用ではないでしょうか。

 ◆恣意的判断でプライバシーの侵害、運動弾圧も
①プライバシーを侵害する際限のない調査
 政府が収集できる情報は、「その他政令で定めるもの」「内閣府令で定める事項」であり、国会のチェックなしで、思想信条や所属団体、家族・友人関係などを調べることができます。過去に、自衛隊のイラク派兵に反対する国民を自衛隊情報保全隊が監視していた事実もあり、決して杞憂ではありません。 
②市民運動など弾圧につながる利用規制
 法案にある「機能を阻害する行為」の具体的内容は、法案成立後に政府の裁量で決められる「基本方針」で定めることになっています。 
 基地などの近隣住民の監視、基地に対する抗議行動の規制が政府の恣意的判断で実行されることになります。 
 例えば、低空飛行、爆音被害、部品落下、有機フッ素化合物の混じる泡消火剤流出などの基地被害を押し付けられている周辺住民や基地の監視・抗議にとりくむ運動の弾圧に使われることにもなりえます。 
 沖縄では、多くの住宅などが基地から1キロ以内となります。これらの基地は、住民の土地を強奪して造られたもので、ただでさえ基地の重圧に苦しむ県民にさらなる負担を押し付けることは到底認められません。