● 中山耕一県会議員
仙台医療圏における病院の再編についてであります。
一昨年、知事が公約に掲げた仙台赤十字病院と県立がんセンターの統合及び東北労災病院と県立精神医療センターの合築による新病院の整備については、これまで真摯にその取組を進めてこられましたが、このことに関し、以下伺ってまいります。
我が県では、将来に向けて急性期病床を減らし、回復期病床を確保する必要があります。また、病院、診療所、在宅の流れをつくる地域医療連携も課題となっており、これらの課題解決と病院再編の関係についてはどのようにお考えか、伺います。
地域医療構想の実現という意味では、国の大きな方針に従うものであります。国への財政支援の要望について、お考えがあればお披瀝願います。
病院再編について、二月二十日に各設置主体と協議確認書を取り交わしておりますが、その内容及び知事としての評価について伺います。
特に、日本赤十字社との確認書には、精神科外来機能について協議を進めるとありますが、どのようなことを意図して確認書に盛り込まれたのか、併せて伺います。
国の発表によると、救急搬送による通報から病院収容までの時間は、令和三年においては全国で四十二・八分でしたが、本県は四十四・九分で、前年より一・九分長くなりました。全国順位は前年度三十九位から四十位に低下しております。一概に病院の位置だけが要因ではないと思われますが、この現状をどう分析し、病院再編で何を目指していくのか伺います。
そもそも大きな総合病院は、患者が最初から行く場所ではなく、近隣のクリニックなどで診療を受け、精密検査や手術は大病院に紹介し、他方で急性期後の回復期には、逆紹介の流れで身近なクリニックや在宅に戻るという連携と役割分担に基づく地域における切れ目のない医療・介護が重要だと思料します。病院再編でどのような姿を目指していくのか、お考えを伺います。
また、災害や感染症についてはどのような姿を目指しているのか併せて伺います。県立精神医療センターの移転については、移転や候補地の話題が先行した嫌いがありますが、そもそもなぜ移転なのかについてよく説明すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
名取市在住の患者や関係者などから反対の声があります。また、県では、二月八日の精神保健福祉審議会で課題整理や方向性について報告したとのことですが、今後どのように対応していかれるのか、伺います。
仙台市における医療の在り方に関する検討会議から仙台市長への提言の中では、病院再編について慎重な検討が必要で、仙台市の検証・検討に必要なデータや資料の提供を働きかけるべきとありますが、このことについてはどのようにお考えか伺います。
また、当該提言では、仙台モデルを目指し、中長期を見据えた医療政策の方針を定めるとしておりますが、このことについては県としてどのように受け止めているか、伺います。
■ 村井知事
大綱二点目、仙台医療圏における病院の再編についての御質問にお答えいたします。
初めに、地域医療連携の課題解決と病院再編の関係及び国に対する財政支援の要望についてのお尋ねにお答えいたします。
病院の再編については、政策医療の課題解決のため、県が考える最適な方策として令和三年九月に方向性を示し、その実現に向けて関係者間で鋭意協議を進めてまいりました。一方で、検討に当たりましては、地域医療構想調整会議や救急医療協議会、周産期医療協議会などの会議で説明するとともに、様々な御意見にも耳を傾けてきており、これらを踏まえて県民全体にとって一層有益な再編にしたいと考えております。また、病院再編に関する助成制度として、国では地域医療介護総合確保基金を活用した、病床を削減する場合の支援制度を整備しておりますが、県といたしましては、病院の統合の場合や重点支援地区域としての支援が充実されることで、再編の協議がより一層加速するものと考えております。今回の病院再編は、急性期病床が過剰となっている仙台医療圏の課題解決に寄与するなど、地域医療構想の推進に大きな役割を果たすものと期待され、厚生労働省も注目している案件でありますことから、県としても協議の状況を説明しながら、支援の必要性などを働きかけてまいりたいと考えております。
次に、協議確認書についての御質問にお答えいたします。
今月二十日に、日本赤十字社の社長及び労働者健康安全機構の理事長と私の間でそれぞれ取り交わした協議確認書の内容につきましては、これまでの協議を通して共有できた認識や、今後詳細を検討すべき事項を確認したものであります。今後の協議の方向性を県民の皆様に広くお示しすることができたとともに、これをもって関係者からの御意見などをうかがえるようになったという点で、大きな前進になったものと考えております。また、県立精神医療センターに通院されている患者や家族の皆様の不安の軽減につながるよう、名取市の新病院への精神科外来機能の設置についての協議を進めることといたしました。そうした状況でありますので、外来機能の具体的な内容につきましても検討してまいりたいと思います。今後、県立病院機構や各病院を加えて、できるだけ早期に具体的な病床規模や詳細な診療科など、新病院整備の方向性について合意できるよう協議を進めてまいります。
次に、救急搬送による病院収容までの時間の現状分析と、病院再編で目指す方向性についての御質問にお答えいたします。
救急搬送時間につきましては、新型コロナウイルスの影響もあり、全県的に長くなっておりますが、特に仙台医療圏では、黒川地域消防本部、名取市及びあぶくま消防本部で救急搬送時間が長いことが課題であると認識しております。県といたしましては、救急医療の体制強化には、これまでも救急医療協議会等で指摘されている専門医の育成・確保や後方病院との連携により、断らない救急体制を構築するとともに、地域バランスが取れた病院配置が重要な要素であると考えており、今回の再編を通じて仙台医療圏全体で救急搬送時間の短縮を目指してまいります。
次に、病院再編により目指す姿についての御質問にお答えいたします。
仙台医療圏では、地域医療支援病院十病院のうち九つの病院が仙台市内に集中しており、再編によりバランスの取れた地域医療連携体制の確保につながるものと認識しております。残り一つは坂病院です。合わせて十病院ということになります。具体的には、仙台医療圏北部及び南部の地域において、かかりつけ医の機能を担っている診療所にとって、仙台市内の病院との間で患者の紹介や逆紹介を行っている現状よりも、総合病院が近くにあることによって連携の強化が期待されるほか、患者自身の負担軽減にもつながり、地域における切れ目のない医療連携等が可能になるものと考えております。また、災害は場所を問わず発生するため、広域的な応援体制や役割分担が必要であると専門家も指摘していることから、災害拠点病院のない黒川地域に整備することにより、バランスの取れた配置になるものと考えております。更に、新興感染症につきましては、来年度策定する第八次地域医療計画においても検討すべき項目とされており、重症化した患者に対応できる診療体制を各地域に整備することを通じて、県内の新興感染症対策の強化につなげてまいりたいと考えております。
次に、県立精神医療センターの移転理由と患者や関係者の声を踏まえた今後の進め方についての御質問にお答えいたします。
県立精神医療センターの建て替えは、喫緊の課題であり、これまで早期の建て替えに向けて検討を進め、様々な候補地を考えてまいりましたが、現在地の名取市近隣では適地がなく、大きな課題となっておりました。このような中、一般病院との連携による身体合併症への対応の観点から、再編の協議の中で労働者健康安全機構の理解を得て、東北労災病院との合築による課題解決とともに、富谷市の候補地が望ましいという方向性を打ち出すことができたものであります。一方で、名取市在住の精神医療センターの患者や関係者の懸念等につきましては切実な思いとして受け止めております。県といたしましては、精神医療センターがこれまで果たしてきた役割や実績は評価しておりますが、将来に向けて各地域でどのような地域包括ケアシステムを実現できるのかを検討することが必要だと考えております。今後とも、移転の必要性について理解を得られるよう説明に努めてまいります。
次に、仙台市の提言についての御質問にお答えいたします。
病院の再編につきましては、これまで仙台市長をはじめ、仙台医療圏の市町村長と意見交換を行ったほか、仙台市からは病院再編に関する御意見をいただいてまいりました。県では、御意見を踏まえた県の考え方についても示してきたところであり、提供できるデータや資料につきましては今後も提供してまいります。また、仙台市の提言は、主に政策医療の体制強化や地域医療連携の充実を求めるものであり、政策医療の課題解決に向けて目指す方向性は共通していると認識しております。県が来年度、第八次地域医療計画の策定作業を行うに当たり、仙台市の検討は大変参考になるものと考えており、仙台医療圏や県全体の医療提供体制の充実を目指したいと考えております。
● 中山耕一県会議員
仙台医療圏病院再編でありますけれども、拠点病院の存在というのはすごく大きくて、地域医療は診療所だったり、クリニックだったり、そういったところとの連携、少し述べましたけれども、そういうことがすごく大事で、それが構築されていないところに拠点病院が行くというのはすごく大きい話なんですね。それで、行った後の医療の地域連携がどういうふうに構築されるか、県でどういうふうに働きかけていくのか、そこがすごく肝だと思うんです。その辺の考えを教えていただけますか。
■ 村井知事
基本的に地域包括ケアシステムをどのように構築していくのかというのは、これは市町村が一義的にやることになっております。それを県は、当然広域的な視点からいろいろサポートしていくということになります。今回の病院の移転に関しましては実現するということなると、県がかなり大きく関わっておりますので、当然市町村任せにできないということから、動きが更に見えてまいりましたら、いろいろな自治体とお話合いを進めていくということが必要だと思っております。今まで、県の考え方というのはいろいろ外に出しましたけれども、日本赤十字社、それから労働者安全健康機構の考え方というものを外に出すことはまだできなかったわけです。そういったことから、いろいろな関係団体と話合いをすることもできなかったわけでありますが、今回、確認書という形で一定のものを出すことができた。つまり、労働者安全健康機構や日本赤十字社がどう考えているのかということを、少なくとも文書として出すことができましたので、これからはいろいろお話合いを進めていくことできますから、お困りであるとおっしゃっている方も含めて、話合いを進めてまいりたいと思っております。