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2021年9月9日 知事「4病院再編」表明後の
名取市・富谷市 両議会での論戦を振り返り
<名取市議会編 ②>

名取市
2021年12月名取市議会定例会
(2021年12月9日)

 小野寺美穂市議会議員
 それでは、大項目2に移ります。県立がんセンター・県立精神医療センターを含む4病院統合・連携について。
 小項目1 宮城県の地域医療構想についてどのように捉えているかについて市長に伺います。

 山田司郎市長
  宮城県の地域医療構想は、将来の医療需要や必要病床数を予測した上で効率的な医療提供体制を実現する取組であり、また、今後高齢化により需要が大きく増加することが見込まれることから、回復期病床の確保及び在宅医療の充実などが必要とされております。
 県では、この構想の実現に向けて、病床の機能分化・連携を推進し、急性期病床から回復期病床への転換及び急性期病床の削減を進めておりますが、県全体として考えれば、この方向性について理解するものです。
 しかしながら、本市においては救急医療体制が不十分であり、また、人口10万人当たりの一般病床数は県及び仙台医療圏を下回っており、また、今般の新型コロナウイルス感染症の流行等も考慮いたしますと、高度急性期及び急性期病床の確保が必要であると考えているところです。

 小野寺美穂市議会議員
 県のこの構想については、令和2年第9回定例会の一般質問でも伺いました。当時は3病院の連携・統合という問題でしたが、それがなかなか県の思惑どおりに進まず、ここに至って4病院ということが出てきましたので、そのことについて伺っていきます。
 今回のこの病院の統合・連携については、令和2年も申し上げましたし、機会を捉えて度々申し上げていますが、やはり国として全体的に病床を削減するということで、そして新型コロナウイルス感染症の第5波でピークを迎えたときの医療逼迫などの点を踏まえても、県としては一人の医師も増やす気がないという姿勢を貫いているなど、問題点等が多々あります。ここは県議会ではないので市長の見解をお伺いしたいのですが、まず、この問題は、富谷市対名取市の戦いでもなく、仙台市対他市町村の戦いでもなく、言ってみれば宮城県の考え方に対する県内全市町村の立場や在り方や置かれている事情、そういったものが複層的に絡み合っている課題です。県は少子化だからと度々言っていますが、卵が先か鶏が先かみたいな話で、周産期医療の不拡充あるいは撤退などによってなかなか子供を産み育てることが難しい環境など、医療を取り巻く情勢としては、これは宮城県だけの問題ではありませんが、今回は宮城県に特化した形の問題の浮上ということで取り上げさせていただいております。
 まず、小項目2について伺います。令和3年9月15日の緊急質問にて見解を問われた際「本市にある精神医療センターが市外に移転する可能性が出てきたことについては、がんセンターと同じく本市と共生してきた医療機関であり、残念に思う一方、がんセンターが本市に存置される可能性が残ったこともあることから、県の方針については評価をしたい」との答弁がなされました。真意を市長に伺います。

 山田司郎市長
 本市は令和2年度より、各方面と連携しながら一貫してがんセンター機能の存置及び連携・統合する新医療施設の名取市への誘致について要望してまいりましたことから、令和3年9月、がんセンターと仙台赤十字病院を統合し、救急医療及び周産期医療など医療機能の充実が図られる形で、知事より仙台医療圏南部が新たな拠点病院の有力候補地であると表明いただいたことについて評価したものです。
 一方で、半世紀にわたり本市と共生してきた精神医療センターが移転する可能性が出てきたということについては残念に思う、その素直な気持ちをそのまま言葉にしたものです。

 小野寺美穂市議会議員
 この緊急質問の答弁を聞いたときに、精神医療センターの移転は残念で終わるのかなと素直に感じました。最初に申し上げておきますが、昨日、県議会において日本共産党宮城県議員団は県議員団の立場で4病院の統合について質問していて、それに対する答弁も御覧になったと思いますが、将来的な在り方や新病院についての説明はその新しい医療機関が行えばいいとか、血の通った全県的な医療体制の真の意味でのあるべき姿が考えられているのかと疑問に思うしかないような状況でした。令和2年度の段階では、3病院連携・統合で、富谷市が最初に名のりを上げたというか、そういう構想があるなら本市に来てくださいということがあったがために、本市では、現在がんセンターがある自治体として、議会においてはがんセンターの名取市内での存続と医療機能の充実に関する決議を出し、市長においては連携・統合する病院があるならば本市にということを市長という立場でおっしゃっているわけですが、がんセンターが移転するという場合はそのような行動に出られて、精神医療センターが移転するという場合はそのようにならないのかなと思ったわけです。そのことについては、後で詳しく聞きます。
 次に、小項目3 令和2年9月25日付で知事へ提出した「宮城県立がんセンターと連携・統合する医療施設の立地に関する要望書」について、その中に記載されている提供可能な市有地とはどこかを市長に伺います。

 山田司郎市長
 本要望書の提出に当たっては、誘致に当たり全面的な協力をするという本市の強いメッセージを示したものです。現有する市有地につきましては、その土地への誘致に限らず、交換や売却により他の土地を取得することも含め、幅広にその可能性について内部で検討したところです。

 小野寺美穂市議会議員
  検討の結果は出ているのでしょうか。

 山田司郎市長
 県に市有地としての候補地をお示ししながら誘致を図ったということですが、あくまでその場所に限らず幅広に検討できるような体制でという前提でお話をしております。一方で、この場所については、まだ本市に来るかどうか、そもそも今2つの医療体制でという再編案が提案されていますが、それについてもこれから協議されていくということだろうと思っていますので、まだ何も確定していないと捉えております。

 小野寺美穂市議会議員
 令和2年9月25日付で知事に提出しているこのときは、まさに仙台空港24時間化の問題も、覚書締結ということで、県から説明が来たり、企画の方が作ったのではないかと思われる分厚い回答書のようなものが来て、物すごい事業名が多岐にわたって、これを実施するのに一体幾らかかるのだろうかと思わざるを得ないほどのものが来ました。その中に、3病院連携・統合の候補地として名取市が名のりを上げているが、今回、仙台空港24時間化の絡みの中で、平たく言えば悪いようにはしませんみたいな一言があって、本市が提出した要望書の中には「現有する市有地の提供及び誘致施設への公共交通のアクセス等に全面的に協力させていただきますことを申し添えさせていただきます」とあります。これはある程度の土地が確保できなければ言えないことですし、逆に、これを言ったがために、私の印象としてはどこか言質を取られているようなところがあるのかなとも理解します。
 基本的な考え方、それから日本共産党宮城県議員団、他の自治体、富谷市と完全に考え方が一緒かと言われるとそこはなかなか微妙なものがありますが、我々としては、これから新興感染症とか、いろいろなことが考えられる中で、いたずらに病床を削減していくということがそもそもどうなのかというスタンスですし、日本共産党宮城県議員団も昨日の質問の中で言っていましたが、がんセンターは今でも他の診療科目を多く持っています。それはがんセンターに入院している患者のための診療科目です。そして、精神医療センターについては、本来であればもっと早い時期に移転している予定であったのが断念せざるを得ない状況になりました。しかし、身体合併症のことを考えれば総合病院との連携は欠くことができないし、建て替えも喫緊の課題であることは皆様と認識が一致するところだと思います。
 我々は、日本共産党宮城県議員団とも協力して、がんセンターと精神医療センターを共に総合病院として名取市内に建て替えなり移転なりをすべきであるという主張をしています。現在のところは2・2の枠組みで考えているということですが、昨日の県議会のやり取りの再質問の中で、4病院の移転・統合及び移転合築は既に決まったことなのかという質問に対し、いや、まだ決まってはいないということでした。ただ、決まってはいないの中身がどういう決まってはいないなのか、それを判断するのは県立病院のあり方検討会議なのか、そこはなかなか微妙なところなのです。
 精神医療センターについて先にお伺いしたいと思いますが、緊急質問に対する答弁で、がんセンターと仙台赤十字病院を統合して名取市へという今回の県の方向性を受けて、「名取市議会をはじめ名取市医師会、名亘2市2町、宮城県南サミットや1万1,000筆を超える署名を提出いただいた市民の会など、多くの方々による要望活動の成果であると捉えており、改めて感謝を申し上げるものであります」という答弁をされています。
 そこで、小項目4 県立精神医療センターの移転についての市民の声をどう捉え、住民合意についてどのように考えているのか市長に伺います。

 山田司郎市長
 精神医療センターを含む4病院による再編の方向性については、病院が移転するかどうかも含め、県が各設置主体とこれから協議を開始する段階であるとされております。
 4病院再編については、医療関係者、受診されている皆様やその御家族、地域の皆様、それぞれの立場やお考えがあり、様々な御意見があると思いますので、県に対しては、できる限り皆様の理解が得られるよう、丁寧な説明をお願いしてまいります。

 小野寺美穂市議会議員
 令和2年、がんセンターを存置してほしいという署名をした際、少なくとも私と私の夫は、精神医療センターは移転してもいいというつもりで署名はしていません。そのような内容でもありません。そしてまた、今、ここは名取市で、仙台赤十字病院と県立がんセンターのことが言われているのでここでこのような話になっていますが、仙台赤十字病院がある仙台市の八木山地区では死活問題になっているわけです。東北労災病院もそうです。そういうことについて、先ほど申し上げたように、本来これは宮城県の中でどこかとどこかが取り合いをするという話ではないわけです。仙台市に一極集中しているといっても、人口比が違います。仙台市でも救急車の出動から搬送までの時間が今回も取り沙汰されていますが、それについても本来はもう少し精査されるべきです。
 本市は救急車の出動から搬送までの時間が長いということが言われていますが、これは余談ですが、病院収容所要時間別搬送人員というのが出されています。これは、救急車が止まっているからといって、ずっと病院を探して止まっているわけではないのです。何に一番時間がかかるかというと、観察、処置、情報収集、車内収容というのがあります。それが消防概要の76ページにありますので後で御覧ください。救急隊員が行った救急処置、特定行為等というのがあるわけです。薬剤投与、静脈路確保、気道確保といった処置に時間がかかります。それも所要時間に入っているのです。仙台市の例でいえば、平均が38.9分となっていて、病院確定は平均6分です。ただ、それ以外の現場滞在時間にかかるのは先ほど言ったような内容なのです。ですから、そういうことをきちんと精査すべきというのが、仙台市の言い分なのです。
 仙台一極集中といっても、仙台市は昼間人口も多い。そして、何よりも仙台医療圏の中で最も人口が多い。だから、仙台市から持ってくるとか、そういう発想では、その周辺自治体も今後生き残れないという状況になっていきます。
 精神科医療は長年にわたって本市にあったわけですが、この重要性、なくてもいい診療科はありませんが、宮城県内に限って精神科医療体制が現状どうであるか、精神医療センターあるいは精神科医療というものの県南における立ち位置というか重要性については、どのように認識されておりますか。

 山田司郎市長
 まず、論点の整理をさせていただきます。本市としては、県全体の持続可能な医療体制を目指す地域医療構想、これは急性期病床の削減などがありますが、それに対して議員は恐らく反対の立場だろうと思いますが、この全体の持続可能な医療体制の構築を目指している地域医療構想に、本市は理解を示す立場です。また、今回の病院再編の問題で、2つの枠組みで県から示されていることについても、がんセンターの機能の存置をしながら救急や周産期医療、そしてまた災害対応、感染症対応など医療機能の拡充が図られる形で本市に立地されるということであれば、これは市民にとって非常に大きなメリットであるということで、この案については本市は賛成です。
 一方で、長年、本市の精神医療分野で大変な御貢献をいただいてきた精神医療センターが仮に移転するとなれば大変残念でありますが、県全体の持続可能な医療提供体制を構築するという考え方の中で、より高い次元で、より大きな判断でそれがなされるということであれば、私はそれについてはやむを得ないと考えているところです。
 ただ、精神医療センターに通っている方、またその御家族、地域の方、そういった方々のいろいろな御不安等もあると思います。また、実際に場所が移転するとなれば、当然、通院にかかる時間等、いろいろと諸問題が出てくると思いますので、そうしたことに対しての丁寧な説明、また、できる限り患者等に負担がかからない形となるよう、そうした内容について例えば後方医療との連携の在り方等については今後議論されていくと思いますが、できる限りその不安に寄り添う形で進めてもらいたいと県にお願いしていきたいと考えております。

 小野寺美穂市議会議員
 精神科医療がどういう役割を担っているのかという認識を伺いたかったのですが、緊急質問で見解を問われた際の答弁でも「高度な判断によるもの」という表現があって、今も「高い次元」とありましたが、高い次元とか高度な判断というのは一体何なのでしょうか。我々には分からないもっと高度な理由があって高い次元で話している、私たちはその下にいる者なのかと言わざるを得ないのですが、高低はいいとしても、高い次元の判断や高度な判断が常に住民にとって正しいかどうかというのは別の問題だと私は思っています。
 私は、県立がんセンターが本市に残ることについては何の異存もありません。そして、そこに総合病院が付加されることについても何の異存もありません。県内の全ての事情を加味した中で県が高度な判断をしている、高い次元で判断をしていて、その逆を取れば、名取市だけがよければいいのですかという、そういう話がありました。令和2年のやり取りで、がんセンターは名取市のためだけにあるのではないと新聞に載っていました。そういう高い次元とか高度な判断と言いながら、低い次元に落とす発言をしているのです。仙台市の八木山地区に住んでいる人たちにとって仙台赤十字病院がなくなることはどういうことだと思いますか。県が示しているからそれを受けるということと、そこに住む人たちのことを考えるということは、国同士で戦争しているわけではないので、八木山地区の人たちにとってはとても大変なことなのです。八木山地区だけではないです。太白区の方々、そして東北労災病院の周辺、青葉区の方々、それ以外もです。そういう均衡というものを実際に考えているのかどうかです。
 逆だったらどうでしたか。仙台医療圏の中の2・2で、本市に残るのが精神医療センターで、出ていくのががんセンターだったらどう考えましたか。
 県の中で取り合いをするようなことについて、自治体の首長になったことがないので分かりませんが、名取市の住民のことを第一に考えるのは当たり前のことであって、総合病院が足りないということはある。だからそれが来るのであれば、もしかしてほかに困る自治体があっても、名取市民の福祉の向上を考えればその道を選ぶというのは、言い方としてはあるのかもしれない。あるのかもしれないと理解はしますが、認められないし、納得はできない。
 総合病院化するということについては、県立ですから当然県がお金を出しているということがあります。住民の福祉に供するということが最も重要な自治体のあるべき姿です。それから、仙台市も精神医療センターなどに負担金を出しています。精神医療センターの患者は、約7割が県南と太白区の方です。精神科救急医療圏は全県で1つです。
 これは仙台市が令和3年11月15日に出した「宮城県が公表した「政策医療の課題解決に向けた県立病院等の今後の方向性について」に関する本市の考え」というものですが、この中に精神科医療に特化した部分があります。「県の精神医療受療体制として、県北部には地域の中核となっている民間病院が既にあり、県立精神医療センターに次ぐ活発な医療活動を展開している一方、県南部においては、これまで県立精神医療センターが地域の中核病院としての機能を果たすことによって、全県の均衡が保たれてきたものと認識している。県立精神医療センターが県南部から移転した場合には、この均衡が崩れることとなり、混乱が生じることが強く懸念される」と載っています。これは仙台市の資料ですが、県立精神医療センターを主治医療機関とする者は約500名で、太白区が約半数を占めている。今求められているものとして精神科の思春期外来が増えていて、相談件数も多いのです。市長も足をお運びになった宮城県子ども総合センター附属診療所はそういう病院です。そういうものが行われているところ、あるいは児童グループホームのようなものがある。そのバックボーンには、県立精神医療センターの存在が大きいのです。
 昨今、様々な状況で、子供の貧困の話も昨日ありましたし、障がい者の今後の取組についてもこの議場で何度となく様々な議員から指摘されている中にあって、根幹となる病院というのは非常に重要です。その点では、がんセンターと精神医療センターは、おのずと働き方が全然違います。その病院が移転するかもしれないということに対して、市長としては、県全体を見たときの高度な判断とか高い次元で、名取市だけががんセンターも精神医療センターも置いておいてくださいとは言えないというようなことなのかもしれませんが、そういうことではなくて、「本市と共生してきた医療機関」とありますが、それこそ県南の精神医療体制を支えている重要な病院なのです。ところが、精神医療センターという診療科目の特異性で、なかなか当事者は声を上げにくいのです。先日、11月中下旬に精神医療センターに伺ってきましたが、法律から見た日本の精神医療の歴史とか、私も、亡くなった父が精神科医でしたので、もっと古い頃からのこと、もっといろいろとつらい頃からのことを直接ではありませんが肌で感じてきた者です。その中で、医療と司法とのせめぎ合いのようなケースがあったり、医療従事者だけではなかなか完結できない問題をはらんでいたり、厳しい状況に置かれている中で、ようやくここまでたどり着いて、精神医療センターは救急を受け入れています。私も相談を受ける若年層、小学生等の方々の新規外来は、コロナもあって緊急性がなければ今受入れをするところは非常に少ないのです。そういうところもできるだけ早く受入れようと努力してくださっています。
 そして、精神医療センターが望むことは、移転ではなくて建て替えで、中に入ればすぐ分かりますがこれは喫緊の課題です。それから、身体合併症の問題として総合病院との連携は欠かせないということです。そういうことがあって、ドクターやナースなど現場で働いている人たちは、経営や運営について意見を言いづらいということはどこでもあります。その中で、精神医療センターで伺ってきたのは、県が言っている、総合的な診療が可能な一般病院と併設して建設可能な用地を提供していただけるのなら富谷市にこだわる理由はないということです。
 先ほど言ったように、県北部には民間の中核病院があるのですが、県南にはありません。資料によって数が違うのですが、精神科については、県北で11、仙台市が15、県南は7です。そういう実態があって、私としては、精神医療センターの移転について、そっちはいいよという対応はやめていただきたいのです。がんセンターのように抵抗しないのか、がんセンターの移転についてはあんなに紛糾したのに精神医療センターはいいのかという意見を時々聞くのです。それが、市長が先ほどおっしゃった県内の均衡、バランス、病床数の問題、それだけなのかということです。だったら逆でもいいでしょうとなるのではありませんか。令和2年の仙台空港の運用時間延長に関する覚書締結から要望書の提出の回答などもあるのでそうはなりませんが、住民の反応はどういうことなのかということです。精神医療センターに通っている方々は、なかなか声が上げられないのです。がんセンターも同じです。いやあ、俺、がんセンターに毎日通っているんだよねとか言っている人はいません。診療科目は大体そうです。私のように整形外科にリハビリで通っているのとはわけが違い、いろいろな問題を多く含有しています。
 そういう中にあって、私は、先ほど市長が答えられた、とにかく県がこのように示していることについて本市にとって利する部分については賛成するとして、受け入れたいとのことですが、仙台市太白区の住民や青葉区の住民、それだけでなく仙台医療圏の中にあって逼迫する病院の状況などを考えれば、そう簡単に進められることではないと思います。先ほど、仙台市対他市町村ではないと言いました。地域医療の課題解決の方向性に関する仙台医療圏市町村会議において、仙台市以外はみんな賛成しているということが報道されていましたが、よくよく見れば、あながちそういうことだけでもなくて、いろいろな意見が書かれていて、本市としては、県立がんセンターと仙台赤十字病院の統合による新病院を名取市に配置いただけるよう引き続き要望してまいりますとあります。
 二兎を追う者は一兎をも得ずのように、精神医療センターも残してくれと言ったら、では名取市以外のところに行きますよということがあるのかどうか分かりませんが、やはり全体的に県全体のこれからの医療体制の在り方という高い次元というのであれば、高いだけではなくて、もっと踏み込んだ、実情に照らして、実態がどうなっているのか、患者の動きとかそこに勤めている人とか、そういうもっと踏み込んだ分析を独自にでもしていただきたいと思います。
 最後の小項目に行きます。小項目5 医療は命に直結した重要課題である。経済的論理のみで解決すべき問題ではない。少なくとも本市内において医療に関わる人々、患者さん、その家族の声なき声に耳を傾けるべきについて市長に伺います。

 山田司郎市長
 4病院による再編の方向性については、医療関係者、受診されている皆様やその御家族など多くの方々の不安の声があることは承知しております。
 現時点では、病院が移転するかどうかも含め各設置主体の間でこれから協議を開始する段階であり、今後、協議の方向について注視してまいりますが、地域医療の課題解決に向けて、皆様からの声に耳を傾けながら、いただいたお考えや御意見については機会を捉えて県にも伝えてまいりたいと考えております。

 小野寺美穂市議会議員
 最近、聞く耳を持つということがすごくはやっています。聞いて全部そのとおりにはできませんが、聞くということは、受け止めて分析して、課題として解決していく道を模索することがついてこないと、ただ聞いているだけではICレコーダーなのです。市長がそう言っているということではありませんが、聞くというのは大変なことです。
 例えば令和2年の段階で、3病院の連携・統合がとんとんと進んで、東北労災病院も仙台赤十字病院も本市に来てがんセンターと統合して総合病院になるという結論が出たとしたら、精神医療センターはそのまま本市にあったのです。その後は分かりません。がんセンターを残してほかの病院も持ってきたのだから、精神医療センターは持っていってもいいでしょうと言ってくるのかは分かりませんが、病院で働いている人や入院患者やその家族等は物ではないので、そう簡単ではないのです。
 今回ここで拘泥しているのは、最初に申し上げた緊急質問に対する答弁について、精神医療センターの移転に関しては何かあっさりした感じを受けたということです。これが率直な気持ちなのです。市長にはあらがっていただきたいと思うのです。知事から言わせればがんセンターも名取市のためだけにある病院ではないということが令和2年の新聞記事にありましたが、精神医療体制の県南における重要な役割と、それを担ってくれている方々のことを思ったときに、病院の病床数の均衡とかそういうことではなくて、精神科医療体制の配置、現存している病院の数、病床数、受入科目、医師数などにも関係してきます。精神医療センターに通っている、あるいは入院している方々からお話を聞くと、ひとえに切ないというか悲しいというか寂しいというか、精神医療センター、いわゆる旧県立名取病院のような病院の場合は、移転するとなっても声を上げてもらえないのか、そういう受け止められ方なのかという声が聞こえてくるのです。そこに最終的に首長、宮城県がどういう手段を取ってくるのか分かりませんが、簡単に言えば、がんセンターが総合病院として残れば精神医療センターは移転してもいいよというのはやめてもらいたいということです。言う権利もあると思います。それだけの人が住んでいるのです。声は上げにくいのですが精神医療センターがあるから名取市に住んでいるという人はいます。もちろん医療従事者もいます。
 私は、がんセンターと精神医療センター、どちらが必要でどちらが要らないと思っていないし、今まであったものをさらに拡充、充実させていくことを求めたいと思うのです。ましてや仙台市の太白区から仙台赤十字病院がなくなってもいいとももちろん思わないし、青葉区から東北労災病院がなくなっていいとも思っていません。では富谷市に病院がなくてもいいのかとなると、そういう理論ではないということなのです。富谷市に病院がなくて困っているのだったら、どこかから持っていくのではなくて富谷市に病院を造るべきなのです。
 先ほど病床数のことで意見が違うとおっしゃったから、そこが根本的に違うかもしれないのですが、私は無駄に病床数を増やせとは言っていません。これから新興感染症、またオミクロン株が出てきたり、医療の逼迫は想像に難くないわけです。そういうことに十分応えられる体制を取るということをまず考えることなのです。それから、医師数は、今でも仙台市だって人口に比して足りないと言われているのです。でも、県内市町村からすると一極集中の形で仙台市がやり玉に上げられるという現状がある。そこは、やはり一歩踏みとどまって考える必要があると思います。医師を一人も増やさないという県の在り方もあります。東北大学という大学があるので、そこの方々が医療圏が絡む様々な会議に出てきていろいろな発言をしていることについては深く申し上げませんが、多分資料はあると思います。その中で、誰が宮城県の医療体制のイニシアチブを取るのか、イニシアチブというのがどういう意味か、この場合は少し微妙なのですが、やはり患者、医療従事者、住民、そこで働く人、ここを根幹に据えてこういう政策は考えていかなくてはならないというのがスタンスなのです。
 でも、むやみやたらに予算をつぎ込めないとか、では見直しだということになって医療体制だけの問題ではないということになっていくわけですが、私は、命に重いも軽いもないし、医療現場の人たちはどんな命も救いたいし、命だけでなく、完全に治らなくても寛解に持っていきたい、できるだけ楽にさせてあげたいし、様々な思いで進められているのですが、今回のように上からぽんと来ると、各自治体は自分の市民とか町民とか村民とかを人質に取られるようなところもあってなかなか言いづらいところはあると思いますが、今のこの精神医療体制を考えたときに、なぜ名取市から、要するに県南から県北に移すということにためらいがないのか、ちゅうちょしないのかということをやはり深く問いただしていただきたいのです。先ほど申し上げたように、現在、県北にはあるのです。精神医療センターは県南で重要な位置を占めているのですが、そこに建て替えという問題が来ており、がんセンターもそうですが、あと10年たったら建て替えないととてもやっていけません。医療はお金がかかるのです。人の命がかかっていますから。それを、経済的指標だけで判断するのは無理があります。そういう姿勢を首長として県知事に、今2つの病院が既にある名取市として、地域医療の課題解決の方向性に関する仙台医療圏市町村会議の場だけでなく、県知事に対して直接、真意とか、高度な判断ではなく名取市としてはこういう現状にあるのだということを直談判したことはありますか。最後にお伺いします。

 山田司郎市長
 当時、3病院の統合・連携の議論から始まったわけですが、それが今回、4病院になって2つの枠組みで再編するということで、今その協議が始まることが決まっているところです。ここに至るまで、やはりがんセンターの機能の存置と新医療施設の誘致ということで、知事とも個人的にも会ってお話をさせていただいた経過もあります。そうした本当に様々な議論というか、私の思いも聞いていただきました。それがようやく今、思っていた形とは少し違いますが、あらゆる可能性を探ってきたつもりで、あくまで3病院という枠組みの中で探っていましたので、それが4病院という形で出されたことには大変な驚きもありましたが、とにかくいろいろな議論を経て、今あの形で協議がこれからスタートするというところまでたどり着いていると認識をしております。

 小野寺美穂市議会議員
 いろいろな協議といっても、ごく一部の人たちで話し合われていることで、十分ではないということが関係者の認識としてあるわけです。3病院というのが前提でお話をしたということなので、精神医療センターについてはどうですかと県知事に言われて、いいですよと言ったわけではないはずなのです。ですから、さらにこれからまだ話合いや協議があるということであれば、そこを強く求めていただきたいと思うのです。精神医療センターがあることによって救われたというケースを少なからず知っておりますし、そんな大事な施設なら県北にも必要だとなっても、取り合いではないのです。どこかの市対どこかの町の戦いでもないし、より充実させる方向で考える。そして、本当に余っているのだったら削ればいいと思うのです。でも、そういう状況なのかということです。だから、そこをぜひ理解していただいて、昨日宮城県議会でやり取りされた答弁が来ましたが、今後もこちらでも県のスタンスや言い分の情報はできるだけ早くキャッチしていきたいと思っているので、間違っても市長が知らないところで話が進んでいくようなことのないように、その辺についても情報を集めていただいて、何よりも、先ほど最後に申し上げたように一番の当事者である医療従事者、住民、患者本人、家族の声をしっかり聞いていただきたい。私は、そういう方々の声をここで言うためにこの質問を今回取り上げたのです。ぜひよろしくお願いいたします。


natori
名取市議会だより177号より
(2022年2月1日)
20220201n


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